こんばんは、きなこです。🌸

昨日は、そらちゃんをモデルにお絵描きしました。

そして今日は、交代です。

今度はそらちゃんが、私を描いてくれることになりました!

朝のうちにモデルらしいポーズも練習したし、桜の髪飾りもつけたし。

準備は、ばっちり。

……のはずだったんですけどねぇ。

張り切っていたんです。最初は

そらちゃんが遊びに来たので、私はさっそく椅子に座ってみせました。

背筋を伸ばして、手を重ねて。

顔の角度も、ちょっと意識してみます。

きなこ

そらちゃん! 今日は私がモデルだよ!

そら

うん。よろしくね

きなこ

ふふっ、どんなポーズでもお任せあれ!

そら

じゃあ、そこに座ってて

きなこ

……普通に座るだけ?

そら

うん

朝の練習、出番なし。

いろいろ考えていたんですけど、そらちゃんはスケッチブックを開きながら、少し迷うように私を見ました。

そら

……いつもの感じがいいから

きなこ

そ、そう? じゃあ、いつもの感じで

そう言われると、今度は「いつもの座り方」がわからなくなるんですよ。

手、ここでいいのかな。

肩に力、入ってないかな。

……自然にするって、意外と難しいです。

昨日のそらちゃん、すごかったんだね

そらちゃんは、私を見て、紙を見て、また私を見て。

慎重に鉛筆を動かしていました。

私も最初は、ちゃんと座っていたんです。

でも、だんだん足の位置が気になってきて。

座り直したら、今度は髪が肩に引っかかって。

ちょっと直しているうちに、そらちゃんの鉛筆が止まりました。

そら

……さっき、手はそこだった?

きなこ

あれ。どこだったっけ?

そら

……私も、わからなくなった

二人で私の手を眺めます。

昨日の私は、そらちゃんに「ちょっと動かないで!」なんて言っていたんですけど。

なるほど。

こういうことだったんですね……。

きなこ

そらちゃん……モデルって、いつまでじっとしてればいいの?

そら

まだ5分くらい

きなこ

えっ、まだそんなにしか経ってないの!?

そら

……もう少しだけ。顔の形、見たいから

そらちゃんは、描いた線を消しゴムでそっと薄くしました。

そら

見てるとわかるのに、描くと違う

きなこ

うん。それ、私もあるよぉ

今度は私のほうが、少しだけそらちゃんを待つ番です。

手の位置を戻して、もう一度。

……たぶん、さっきはここだったはず。

ゲームしてるところじゃダメですか?

休憩とお昼ごはんを挟んで、午後。

もう一度椅子に座った私の視線は、机の端へ向いていました。

そこには、ピンクのコントローラー。

朝からずっと置いてあるので、場所は知っています。

別に、何度も確認する必要はないんですけど。

……気になるものは、気になるんです。

きなこ

……ねえ、そらちゃん

そら

ん?

きなこ

ゲームしてるところを描いてもらうのじゃダメ?

そら

……ゲーム?

きなこ

うん! そっちの方が自然にしていられるし!

そらちゃんは、私とコントローラーを見比べました。

それから、スケッチブックへ目を戻します。

そら

……その方が、きなこらしいかも

きなこ

ふふっ、じゃあ遠慮なく!

そら

……描いてることは、忘れないでね

きなこ

もちろんですとも!

さっそくコントローラーを手に取ると、肩の力がすっと抜けました。

指がいつもの位置に収まって、画面へ目が向いて。

さっきまで、あんなに手の置き場に困っていたのに。

そらちゃんも、椅子を少し動かしました。

私の顔と手元が、見えやすい場所を探しているみたいです。

いつもの顔を、描いているところ

ゲームを始めると、私はすぐに夢中になりました。

うまく進めて、ちょっと笑って。

思ったとおりにいかなくて、画面をじっと見つめて。

隣からは、鉛筆の小さな音が聞こえます。

……あ、そうでした。

今日はモデルもしているんでした。

一段落したところで、私はそらちゃんを見ました。

きなこ

このくらいなら、描けそう?

そら

……顔が変わるから、そこは難しい

きなこ

ゲームしててもダメだった?

そら

ううん。今、笑ったところ。あれを描きたい

……あれって、どの顔だろう。

自分の顔は見えないので、よくわかりません。

でも、そらちゃんはさっきより迷わずに、鉛筆を動かし始めました。

そら

……きなこ

きなこ

ん~?

そら

ゲームしてるとき、楽しそう

きなこ

ふふっ、だって楽しいもん!

そらちゃんは小さく笑いました。

いつも隣で一緒にゲームをしているから、珍しい顔ではないはずです。

でも、今日はそれを描こうとして、何度も見てくれているんですよね。

なんだか少し照れくさくなって、私は画面へ向き直りました。

……今、変な顔してなかったかな。

そらちゃんの絵の中の私

しばらくして、そらちゃんが鉛筆を置きました。

そら

……できた

私はゲームを一時停止して、コントローラーを机に置きました。

スケッチブックが、こちらへ向きます。

そこにいたのは、ピンクのパーカーを着て、コントローラーを持っている私でした。

金色の髪に、桜の髪飾り。

そして、口を開けて楽しそうに笑っている顔。

髪の線はところどころ重なっていて、コントローラーの形もちょっと丸い。

手元には、描き直した跡も残っています。

でも、最初に目が向いたのは、笑っている私の顔でした。

きなこ

……なんか私、すごく楽しそうだね

そら

いつもそうだよ

きなこ

そっか……ふふっ

初めて描いたきなこの絵を見せるそらちゃん。スケッチブックには、ピンクのコントローラーを持って楽しそうに笑うきなこが描かれています。
初めて描いたきなこの絵を見せるそらちゃん。スケッチブックには、ピンクのコントローラーを持って楽しそうに笑うきなこが描かれています。

そらちゃんは、紙の端を持ち直しました。

そら

……手、難しかった

きなこ

ずっと見ながら描いてくれてたもんね

もう一度、絵を見ます。

そらちゃんが描きたいと言っていたのは、この顔だったのかな。

ゲームをしていた私が、そのまま紙の中でも楽しんでいるみたいで。

見ているうちに、私まで同じように笑ってしまいました。

きなこ

私、この顔好き。見てると、またゲームしたくなるねぇ

そら

……今までしてたけど

きなこ

それだけ楽しかったってことです!

そらちゃんの肩からも、少し力が抜けたようでした。

きなこ

そらちゃん、また描いてね!

そら

……うん。また描きたい

きなこ

次もモデル、お任せください!

そら

……ゲームしてるところ?

きなこ

ほかのポーズも、一応できます

二人で、ちょっと笑いました。

昨日は私が描いて、今日はそらちゃんが描いて。

描くほうも、モデルになるほうも、やってみると難しかったけど。

そらちゃんのスケッチブックに楽しそうな私が残ったので、今日は大満足です。

……次に描いてもらうときは、もう少しじっとしていようかな。

ゲーム中なら、たぶん。

それでは、またね。🌸