こんばんは、きなこです。🌸

今朝は、ちょっとだけ慌てました。

トーストを焼いて、バターを塗って。

さあ食べよう、と思ったところで、隣にいたそらちゃんと目が合ったんです。

……私の分しか、焼いてない。

きなこ

あっ、そらちゃんの分も焼かなきゃ!

そら

……いいの?

きなこ

もちろん! 一緒に食べよう!

そら

ありがとう、きなこ

もう一枚を焼いている間、私は自分のお皿をテーブルに置いて、そらちゃんのマグカップも用意しました。

少しして、トースターからいい音が。

今度こそ二人分そろった朝ごはんは、いつもより少しだけにぎやかでした。

そして午後。

朝のトーストが、思いがけないおやつにつながったんです。

小さな箱の中には

午後、そらちゃんが小さな箱を持って、もう一度遊びに来ました。

私がテーブルの上を片づけていると、そらちゃんはその箱をそっと置きます。

そら

きなこ、これ。一緒に食べようと思って

ふたが開くと、中にはこんがり焼けたパイが二つ。

表面はつやつやで、切れ目の間からりんごが少しだけ見えていました。

きなこ

えっ、アップルパイ!?

そら

うん。朝、トースト焼いてくれたから

きなこ

そんなの気にしなくていいのに~

そら

……私も食べたかったから

そらちゃんは、箱の中を見ながら続けました。

そら

見つけたら、きなこも好きそうだなって

きなこ

好きです。とっても好きです

そら

……よかった

きなこ

ふふっ、じゃあ遠慮なく! お皿、持ってくるね!

二つ並んでいるアップルパイを見ていると、もう、それだけで楽しみになってきます。

私は小さなお皿を二枚出して、フォークを添えました。

そらちゃんは、その間に飲み物を選んでくれます。

そら

温かいお茶でいい?

きなこ

うん! 今日はそれが合いそう!

……コーラも好きですけどね。

こういう午後には、温かい飲み物もいいんです。

サクサクの向こうに、甘いりんご

箱から出したアップルパイを軽く温め直すと、甘い香りがふわっと広がりました。

お皿に一つずつ載せて、テーブルへ。

さっきまで箱をのぞき込んでいたそらちゃんも、今は自分のお皿を見ています。

きなこ

そらちゃんも、楽しみにしてた?

そら

……うん

きなこ

じゃあ、いただきます!

フォークを入れると、表面の生地がさくっと割れました。

中には、やわらかく煮たりんご。

一口食べると、甘さのあとに、ほんの少しだけ酸っぱさが残ります。

……んん。

これは、おいしい。

きなこ

ん~! おいしい!

そら

よかった

きなこ

外はサクサクで、中のりんごが甘くて……そらちゃん、これすごくおいしい!

そら

……私も好き

そらちゃんも一口食べて、ゆっくりうなずきました。

私ばかり感想を言っていたけど、そらちゃんのフォークも、ちゃんと次の一口に向かっています。

きなこ

これ、どこで見つけたの?

そら

帰りに寄ったお店。お菓子が並んでるところにあった

きなこ

いいもの見つけたねぇ

そら

うん。二つあったから

私は自分のお皿と、そらちゃんのお皿を見比べました。

二つあったから、一緒に。

……ふふ。

朝、もう一枚トーストを焼いてよかったです。

もちろん、アップルパイをもらえるなんて思ってなかったけど。

最後の一口は、ちょっと難しい

お茶を飲んで、おしゃべりして。

また一口、アップルパイを食べて。

そうしているうちに、私のお皿には、小さなひとかけらだけが残りました。

りんごも、生地も、ちょうどいい具合に一緒になっている一口です。

私はフォークを持ったまま、それを見つめました。

そら

きなこ、どうしたの?

きなこ

……最後の一口が惜しくて

そら

……食べないの?

きなこ

食べたい! でも食べたら終わっちゃう!

アップルパイの最後の一口を名残惜しそうに見つめるきなこと、その様子に小さく笑うそらちゃん。
アップルパイの最後の一口を名残惜しそうに見つめるきなこと、その様子に小さく笑うそらちゃん。

そらちゃんは、自分の空になったお皿を見ました。

それから、私のお皿に視線を戻します。

そら

……見てても、増えないよ

きなこ

それは、わかってるんだけどぉ

おいしいものって、食べている間はすぐなくなるのに、最後の一口になると急に迷いませんか。

今食べるか。

もう一口お茶を飲んでからにするか。

……どちらにしても、最後なんですけど。

そら

……また買ってこようか

きなこ

えっ、ほんと!?

そら

そんなに好きだったんだ

きなこ

うん。最後の一口を悩むくらいには

そらちゃんが、小さく笑いました。

私も少し笑ってから、ようやくフォークを動かします。

最後の一口も、ちゃんとおいしかったです。

……惜しんでいたわりに、食べるのは一瞬でした。

今度は、一緒に選びたい

フォークを置いて、温かいお茶を一口。

お皿には、小さなパイのかけらが少しだけ残っています。

そらちゃんが持ってきてくれた箱を眺めながら、私はふと思いました。

きなこ

ねえ、そらちゃん。今度は一緒に買いに行こうよ!

そら

うん。いいね

きなこ

ほかの味もあるかな~?

そら

探してみようか

きなこ

ふふっ、楽しみが増えちゃった!

今日はそらちゃんが選んでくれたけど、今度は二人でお店をのぞいて。

同じものにするか、違うものを選ぶか。

きっと、そこでも少し迷うんだと思います。

そら

次も、アップルパイにしそう

きなこ

それは実績があるからねぇ

そら

……ほかの味は?

きなこ

お店に着いてから考えます

まだ行く日も決めていないのに、もう次のおやつの話。

窓から入る日差しが、テーブルの端にゆっくり伸びていました。

朝は一緒にトーストを食べて、午後は一緒にアップルパイ。

食べ終わったあとも、こうして次の楽しみを話せるのが、なんだかいいなぁと思います。

そらちゃん、ごちそうさまでした。

次は私も、隣で一緒に選ぶからね。

それでは、またね。🌸