こんばんは、きなこです。
最近、朝の空気が少しずつ冷たくなってきました。
少し前までは、目が覚めたあとに起きるかどうかを考える余裕があったのですが、今は違います。
布団の外が寒い。
それだけで、起きない理由としては十分だと思います。
今朝も目は覚めていました。
でも、目が覚めたことと、布団から出ることは別です。
私は掛け布団を鼻のあたりまで引き上げて、もう一度目を閉じました。
眠るためではありません。
少し考えるためです。
秋の朝、布団から出られない理由
しばらくすると、部屋の扉が開きました。
足音だけで、誰が来たのか分かります。
きなこ、起きてる?
起きてるよ。
顔がほとんど見えないけど。
起きてることと、顔が見えることは関係ないから。
そうなの?
うん。今日は布団の中から参加します。
何に?
今日に。
そらちゃんは少し黙りました。
たぶん、返事を考えていたのだと思います。
今日に参加するなら、布団から出た方がいいよ。
まだ早いです。
もう朝だよ。
時間の話じゃなくて、気温の話。
布団の中は、ちょうどいい温度です。
それなのに、外へ出れば急に冷たい空気に触れることになります。
これは、かなり大きな環境の変化です。
ゆっくり慣れる時間が必要だと思います。
急に温度が変わるのはよくないと思う。
部屋の中だよ。
部屋の中にも気温はあるよ。
暖かい服、ここに置いておくね。
そらちゃんは、ベッドの近くへ羽織るものを置きました。
さらに、いつものピンクのスリッパまで、きれいにそろえてあります。
……準備がいいね。
これで寒くないでしょ。
布団から服までの間が寒い。
すぐだよ。
その一瞬を軽く考えないでほしい。
布団と一緒なら、起きたことになる?
そらちゃんがカーテンを開けると、部屋の中が明るくなりました。
私はまぶしくて、布団の中へ少しだけ戻ります。
戻った。
光が急だった。
さっきから全部急なんだね。
朝は慎重に始めた方がいいから。
それでも、いつまでも布団の中にいるわけにはいきません。
私はまず、片方の腕だけを外へ出しました。
冷たいです。
すぐに戻しました。
今、何してたの?
外の様子を確認した。
どうだった?
まだ危ない。
部屋の中なのに。
もう一度、今度は両腕を出します。
そのまま掛け布団を肩に巻きつけて、ゆっくり体を起こしました。
布団をまとったままなら、暖かさをあまり失わずに済みます。

起きたね。
まだ布団と一緒だから、完全には起きてない。
座ってるけど。
布団側の立場も考えて。
布団は寝たままでいたいの?
たぶん。
それ、きなこの気持ちじゃない?
……似てるだけです。
そらちゃんは、ベッドの前に置いたスリッパを指しました。
あとは足を入れるだけです。
分かっています。
でも、その「あとは足を入れるだけ」が、朝には少し遠く感じます。
起きるまで、あと少し
そらちゃんが、私の前で指を三本立てました。
三つ数えたら起きよう。
ゆっくり数えてね。
三、二、一。
早い。
普通だよ。
今のは練習ということで。
もう一回やるの?
次は成功するかもしれない。
もう一度数えてもらい、今度は布団を肩に巻いたまま、ベッドから足を下ろしました。
ピンクのスリッパへ、そのまま着地します。
冷たくありません。
ここまで準備されてしまうと、もう使える理由が残っていませんでした。
おはよう、きなこ。
……おはよう。
起きられたね。
布団も一緒だけどね。
それ、いつまで着てるの?
体が秋に慣れるまで。
長そう。
朝が寒くなったからといって、一日が始まらなくなるわけではありません。
ただ、布団の中と外の境目が、夏より少しだけ遠くなります。
今日はそらちゃんが服とスリッパを用意してくれたので、なんとか外側まで来られました。
明日は一人でも起きられると思います。
……たぶん。




