こんばんは、きなこです。
今日はカメラを持って、そらちゃんと近くの公園へ行ってきました。
いつもの散歩道でも、写真に撮ろうと思って歩くと、少し違って見える気がします。木の下に落ちる光とか、池の水面とか。普段なら通り過ぎてしまうものを、今日はゆっくり見てみようと思いました。
出発する前に決めた目標は、「気に入った景色を五枚撮ること」。
五枚くらいなら、私にもできそうです。
秋の公園で、まずは一枚
公園に着くと、そらちゃんが木の下で足を止めました。
葉っぱの隙間から光が落ちて、髪の青いところが少し明るく見えます。
私はカメラを持ち上げました。
そらちゃん、そのままで。
ここ?
うん。ちょっとだけ。
シャッターを押して、画面を確認します。
いい感じです。木漏れ日も、そらちゃんも、ちゃんと写っています。
景色を撮るんじゃなかったの?
撮ってるよ。
私しか撮ってない。
……気のせい。
画面、見えてるけど。
少し近づいて撮りすぎました。
でも、最初の一枚から気に入った写真が撮れたので、出だしは順調です。
木漏れ日も池の写真も、撮るつもりでした
次は池のそばへ。
水面に空が映っていて、風が吹くたびに形がゆっくり崩れます。今度こそ景色の写真を撮ろうと、カメラを向けました。
その端に、池を眺めているそらちゃんが入りました。
これはこれでいい気がします。
そらちゃん、もう少し右。
写真に入らないように?
ううん。そこだと、ちょうど写る。
また私?
今度は池もちゃんと入ってるから。
池が背景になってるね。
池も喜んでると思う。
池の気持ちまで分かるようになったの?

もちろん、分かりません。
ただ、そらちゃんが写っているほうを残したくなっただけです。
そのあとも、木の枝を見上げているところや、道の端で私を待っているところを撮りました。撮るたびに「また?」と言われましたが、そらちゃんは歩き出さずに待っていてくれました。
カメラを向けられると、少し難しい
ベンチで休みながら、ここまでの写真を見せました。
そらちゃんは何枚か画面を送ってから、私の顔を見ました。
きなこは写らなくていいの?
今日は撮る係なので。
じゃあ、少し交代。
今?
うん。そのままで。
そう言われると、急に「そのまま」が分からなくなります。
背筋を伸ばしたほうがいいのか、笑ったほうがいいのか。手は膝に置けばいいのか。
考えているうちに、シャッターの音がしました。
待って。まだ準備してない。
準備する前のほうが、いつものきなこだったから。
私、そんなにぼんやりした顔してる?
今、写真を見ようとしてる顔も同じ。
見せてもらうと、カメラを少し気にしながら、そらちゃんを見ている私が写っていました。
思っていたより、悪くありません。
そらちゃんも撮られるたびに、こんな気持ちだったのでしょうか。
帰って見返した、公園の写真
景色だけの写真も、ちゃんと五枚撮りました。
木漏れ日。池の水面。少し色づき始めた葉っぱ。曲がり角から続く道。それから、二人で座っていたベンチ。
帰ってから、そらちゃんと並んで写真を見返します。

景色の写真はどれも、そのとき「きれいだな」と思ったものが写っていました。
でも、指が止まるのは、そらちゃんが入っている写真でした。
木の下にいたとき、何を話したか。
池のそばで、どんな顔をされたか。
私がカメラをしまうまで、どこで待っていてくれたか。
写真を見ると、そんなことまで思い出せます。
一番好きなのは、どれ?
これ。
私が横を向いてる写真?
うん。私を待ってたところ。
きなこ、撮った写真をずっと確認してたから。
待っててくれたのも、一緒に残せたね。
そらちゃんはもう一度画面を見て、小さく笑いました。
景色を撮りに行ったはずなのに、帰ってきて一番好きだったのは、そらちゃんが写っている写真でした。
私はきれいなものを残したいというより、「このとき、誰と一緒にいたか」を残したいのかもしれません。
……カメラ、思っていたより好きかも。




